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2025-09-20 2025北海道クラブマンカップ第4戦 十勝3時間耐久レース 2025N-ONE OWNER’S CUP Rd.8
恒例の3時間耐久レース、栄建設TBRチームが最後のスプリントバトルを制して初優勝! ~ホンダN-ONEオーナーズカップはまたも道内勢の上位進出ならず!~ 2025 北海道クラブマンカップレース第4戦 2025年 9月21日(日) 十勝スピードウェイ(クラブマンコース)~互いの信頼こそがモーターレーシングを支える柱~ モータースポーツには様々な競技があるが、高速走行が必須のジャンル、 特にサーキットレースでは一般公道では決して経験のできない速度でバトルが展開される。 そこには常に危険が隣り合わせであり、安全が保障されたスポーツではないからこそ、それに魅せられた多くのドライバーが参戦してくる。 普段の生活では味わえない“非日常性”や“スリリング”な競い合いこそがサーキットレース最大の持ち味であり、 一度経験するとなかなか抜けられない“魅力”なのである。それは多くの参戦ドライバー達やレース関係者ならよく知っている事実だろう。 さらにモーターレーシングは、ボール一個と広場さえあれば楽しめるサッカー等とは違い、クルマという高価な競技用具を必要とするスポーツ。 アクシデントやクラッシュにより“用具”が破損すれば、すぐさま参加者に大きな負担を強いることになる。 だからこそ安全に配慮した競技運営と、公平で平準化した裁定が必要となるのだ。 そのため,巨額な予算金額が投入されているスーパーGTなどのトップカテゴリーにおいては、競技役員の他にレースディレクターやアドバイザーという役務を持つ独立したスタッフが派遣されている。 例えばスーパーGTには服部尚貴氏がその任にあるメンバーの一人である。 またTGR関連のレースでは影山正彦氏。 今回開催されたホンダN-ONEレースでは、史上最強のジムカーナドライバーであり、GT300でも活躍した山野哲也氏がアドバイザリースタッフとして派遣されている。 彼らは決して競技役員と対決するために存在するわけではない。 その長きにわたる豊富なレース運営やドライバー経験から、最も公平な裁定を下したり、適切なアドバイスをするために派遣されるのだ。 どのチームも巨額な資金を投入しているのだから、その利害関係は複雑となる。 それを充分に理解し、競技役員とチームやドライバーとの“橋渡し”を務め、スムーズなレース進行を期すために存在するのだ。 十勝のクラブマンカップレースにおいても時折、トラックリミット違反や進路妨害などについてのペナルティが課されることがある。 もちろん当該チームには競技役員から説明があるのだが、そこをもう一歩踏み込んだ説明を要望する声もあるようだ。 そのためにも、長く豊富なレース経験を持ち見識ある人物がドライバーの意向を確認し、競技役員の裁定を丁寧に判断。 さらに経験に裏打ちされたレース界の常識に則った処理をするレースディレクターのような存在がスタッフに加わっても悪くはない。 その任に当たるにふさわしい人物が存在するかどうか、そのあたりは問題なのだが、公平で公明な判断をするレースディレクターの選任を検討する時期なのかもしれない。 <N-ONE OWNER’S CUP 第8戦>
~やっぱり強かった! ツカハラ勢の圧勝劇!~
レース前日に設定されていた専有走行、午後から降り出した雨が強くなり、コースは水浸しの完全なウエット状態。 ホンダN-ONEはハイトワゴン系の軽自動車であり、決してスポーツ走行には向いていない車両であり、そのドライビングコントロールと車両セッテイングはまったく特殊な方策を必要とされる。 ウエット路面ではさらにコントロールが難しくなったのだろうが、アドバイザーの山野哲也氏は常連ドライバーと同等のタイムで周回。 その走りにはまだ余裕がありそうで、さすがに一流ドライバーの実力を思い知らされたのである。 その雨、夜半過ぎにはさらに勢いを増し、雷鳴と共に滝のような豪雨となった。 十勝・釧路方面には北海道初の線状降水帯予報まで出される有様。 ところがその豪雨、早朝には上がり、8時過ぎには陽光さえ差し始める。 「女心と秋の空」ということわざにもあるように、まったく秋の天気動向は分からないものだ。 ドライの回復した予選アタック、主導権を握ったのはやはりシリーズを転戦する常連チームだった。 TSUKAHARA RACINGや、-JIN-MOTORSPORT勢が、多い時には4~5台のチームメイト同士が連なってスリップを使ってタイムを上げてゆく。
ディーラーチーム主体の道内勢、スポット参戦の上にドライバーが毎年変わり、経験を積むことがないため道外強豪チームとの差は大きく、上位争いに加われなかったのは仕方のないところ。 とはいえ道内ディーラーチームの出走目的は上位入賞ではなく、社員にレースの楽しさや日常にはない緊張感を味わってもらうためなのだから、それも当然なのだろう。 道内勢で気を吐いたのが、一昨年にホンダカーズ北海道チームのドライバーとして参戦し、予選5位、決勝も6位と上位争いの一角を占めた及川優斗選手。
その成果からレースの楽しさを知り、ディーラーチームのドライバーではなくなったが、自費で車両を製作し参戦している。 今回もトップの塚原啓之選手からは1秒半以上離されたが、レース展開によっては上位入賞も望める8番手タイムをマークするのだ。 最も残念だったのはホンダカーズ南札幌チーム。 車検は通ったものの、ウォーニングランプが消えず、修復しようとしたが原因がつかめない。 予選タイムの計測が出来なかったため、嘆願書を提出して決勝は最後尾からのスタートは許されたのだが、その決勝も不調のままでリタイヤ。結局、このレースでは一周も走れなかったのである。
そして決勝、併催のサーキットトライアル参加車両がストレートでエンジンブローし、そのオイル処理のため、スケジュールが25分以上も遅れ、ようやくスタート。 ホールショットを奪ったのはポールの塚原啓之選手で、すぐ後方に塚原和臣選手、塚原臣吾選手とTSUKAHARA勢が強さを見せつける。 そこに-JIN-の神林健太選手が割って入るが、トップ2台はリードを広げてゆき、独走体勢。 結局そのままレースは終了、塚原啓之&臣吾のTSUKAHARA勢の2台が高ポイントを獲得し、今回は不参加だったポイントリーダー阿久津敏寿選手に迫る成果を、優勝賞品である栗山産メロン6玉と共に手に入れたのであった。
道内勢で期待された及川優斗選手だが、予選8番グリッドからコースイン側を加速していったのだが、アウト側からコーナリングスピードを上げた3~4台に前方をふさがれ後退。 激しい10番手前後のバトルから抜け出すのは容易ではななかったようだが、道内勢では最上位の12位でチェッカー。 「カネも無くなったし、仕事もありますから今回でレースは一休みです。だからこそ上位に入りたかったんですが、ちょっと残念です」と言う及川選手、ぜひまたこのレースフィールドに帰ってきて、常連強豪勢に一泡吹かせる走りを期待したいものだ。 <TOKACHI 3時間耐久レース> ~北海道にもとうとう新鋭マシンv.Granzが登場!~
0クラスを除き、すべてシリーズ戦が開催されているワンメイクであるが、何と5クラスもの車両が混走となった今回、さすがにクラス間のラップタイムの差は大きい。 0クラスは1台だけの参加であるが、WESTが次世代の本格レーシングスポーツとして販売を強化しているv.Granz。
導入したのは栄建設TBRチームである。 チームオーナーである栄建設の佛田尚史社長、「VITAの次のレーシングスポーツを考えて購入しましたが、補器類すべて含めると1,000万円オーバーの価格ですからね、簡単にはいきませんよ。 でも将来を考えて北海道内では真っ先に走らせようと決断しました!」と話してくれた。
WESTではすでに100台以上販売したようだが、その価格を考えると購入できるのは余程の富裕層か個人事業主、有力なスポンサーにサポートされるチームくらいだろうし、 スリックタイヤを使うことから参戦維持費も高額となりそうで、北海道でこのv.Granzの単独レースが開催されるようになるのは相当先になるのではないだろうか。 とはいえ、このV.Granzのパフォーマンスはその価格に充分に見合ったものと言えるだろう。 フロントはセミモノコックでリアはスペースフレームなのだが、リアはエンジン&ミッションも構造体に使うなど最新のマシン製造技術に則っている。 そのためリアセクションに余裕ができ、リアサスペンションの自由度が増している。 コクピットにもシフトレバーなどなく、クラッチはスタートと停止時に使うだけで、走行中はパドルシフトというスーパーGTやF1にも通じる操作性なのだ。
パワーユニットはトヨタのM20-FKS。2,000ccでNAながらもトルクフルなエンジンである。 チームのAドライバーである大島良平選手、「このクルマは乗りやすいし、速いし、乗ってて楽しくなりますよ。 今は1分25秒台ですけど、もっとクルマに慣れて気合を入れれば24秒台の出るかもしれません!」と、圧倒的なラップタイム差があり、当然のごとく大量リードを奪っての総合優勝を果たす。
~ラストの気迫が優っていた! 栄建設TBRチームが耐久初勝利!!~
0クラスはさておき、実質的な優勝争いをするのはVITA-01の1クラスだろう。 最大勢力である恒志堂レーシングは今回4台出走するのだが、“助っ人”のペアドライバーを実力者ぞろいのラインナップとしてきた。 チームオーナーの佐藤元春選手とペアになるのはVITA-01レースが開催される十勝を除くすべてのサーキットで優勝を重ねてきた“VITAのキング”とも称される徳升広平選手。
浅井康児選手とのペアは今シーズンのVITA-01レースでは負けなしという活躍を見せる兒島弘訓選手。
市川篤選手はスーパー耐久シリーズのST4クラスにスープラGT4で参戦中の織田祥平選手。
異色なのは工藤大祐選手のペアドライバーの三上潤選手。
彼はレーシングマシンのメンテナンスショップを経営するエンジニアであり、VITA-01のセッテイングについても深い知識を持っており、今回はそのノウハウを生かそうと十勝の耐久レースに参戦してきたのである。 その強力な恒志堂勢に対して、レギュラードライバー同士でペアを組むのが、栄建設TBRチームと足立眼科Y′Sチーム。 栄建設チームは今シーズンのシリーズ戦を席巻している四倉悠聖&瀬戸惇吾選手の気心知れたペアであり、 足立眼科チームはシリーズ上位入賞を続ける村上泰規&坂本幸照選手のペアで、特に村上選手には耐久3連覇の達成が期待されていたのである。
予選アタック、ここで速さを見せつけたのはやはりVITA-01キングである徳升広平選手。 コースインしてタイヤを温め、2周目にはアタックに入りトップタイム。 タイヤやマシンに無理させず、コース状況を見定めるという実力派さすがである。2番手には瀬戸惇吾選手と順当だったが、3番手タイムを叩き出したのはVITA CLUBの岡本大地選手。 今シーズンはTGR86/BRZのプロクラスで優勝するなど頭角を現してきたドライバー、このチームも優勝争いの“穴”になるかも・・と思われたのである。 そして決勝、1周のペースカーランのあとグリーンランプが灯りスタート。ここで素晴らしいダッシュを見せたのが“穴”と思われた#10岡本選手。 #12佐藤選手、#777瀬戸選手の間をすり抜けるようにトップに立って先頭集団は接近戦となる。
ところがオープニングラップを終えたところでフルコースイエローが表示され、セフティカーランになってしまう。スタート直後の4コーナー進入で2クラスの一台がコースアウトでスタックしてしまったのだ。
レース開始早々のトラブルだったが、そのセフティカーランも3周ほどで終了、再スタートとなる。 その再スタート後、トップグループの#777瀬戸選手のペースがいきなり落ちて、そのまま緊急ピットイン。 何と、スタート前に満タンにし忘れていたという凡ミスでガス欠状態になっていたのだ。 「あぁ、こんなミスで勝負の権利を失ってしまった・・と落ち込みましたよ、あとは淡々と走るだけでした」と瀬戸選手。 ペアの四倉選手も「起きたことは仕方ないですからね、あとは作戦通りにペースを維持して走り続けますよ」と言うが、それが結果的に功を奏するのである。 通常のスプリントレースではスタートしてしまったらあとはドライバーに任せるしかない。 しかし耐久レースはチーム力の勝負なのだ。ドライバーの選定から、ピットインのタイミングや走行ペースの設定、給油量やタイヤチェンジの判断など、クルーチーフやピットクルーの力量も試されるのだ。 その点からも、#12恒志堂レーシング、#777栄建設TBR、#77足立眼科Y′Sの3チームが抜け出た存在であることは間違いあるまい。 スタートから40分を過ぎるころから第一回目のピットインが始まる。
このタイミングによって順位は変動するのだが、前述した3チームに#10VITA CLUBを加えた4チームがそれぞれ入れ替わりにトップを走る。
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その後もピットストップ時間計測のミスからペナルティを受けたり、複数回のトラックリミット違反で白黒旗が提示されたりするチームもあったが、ほとんど大きな順位変動はなかった。 そしてこのレースの行方を左右した最大のアクシデントがレース終了18分を切った頃に発生する。 2クラスの一台が8コーナーでスピンし、アウトのサンドトラップでスタックしてしまう。この車両の排除作業でセフティカーランとなり、それまでのトップグループのマージンは消え去ってしまったのだ。
残り10分足らずとなってセフティカーはコースアウトし再スタート。 わずか4~5周の超スプリント決戦となったのだ。ここまでどれくらいの余力を残してきたから勝敗の分かれ目なのだが、最後の最後で気迫の走りを見せたのが#777四倉選手。
ほとんどテールtoノーズだった#12徳升選手から徐々にリードを広げていき、最終的には7秒もの差をつけてトップチェッカーを受けるのだ。 「スタート前のミスから最後尾まで落ちましたからね、でもそこから上がっていけました。 ラストの4周は頑張りましたよ、VITA日本一のドライバー(徳升選手)に直接対決で勝てましたから、最高に嬉しいです!!」と四倉選手。 ペアの瀬戸選手も、「とにかく嬉しいです、一時は落ち込みましたが、そこから上がっていけた。チームの力です!!」と喜びを表現。 2位の#12徳升選手、「これまでの私の実績から皆さんが私をターゲットにしてくれたことは嬉しいです。でもここでのトップは取れなかった。 全国各地のサーキットで勝ったことがないのは十勝だけなんですよ。なんとしても勝ちたかったんですが、悔しいです!」 と言えば、ペアの佐藤選手も「ちょっとペースが及ばなかったですね、悔しいですよ。なので来年も同じペアで必ず勝ちに行きますよ!」と宣言。 また来年も徳升選手というVITA-01日本一ドライバーの走りが見られそうであり、道内勢のライバル達との激戦バトルは大いに楽しみとなってきた。
~レギュラー3クラスはほぼ順当な決着!~
v.Granz、VITA-01以外は通常のレギュラークラス、2クラスが初代VitzのN-1000で出走8台、3クラスはTS-86/BRZで3台、4クラスはN0-Vitzの5台となっている。 ただN-1000にエントリーしていたベテラン鹿内邦宜選手が車両の不備で参加取り消しとなり、 残りはすべてステップ・エンジニアリングのサポートを受ける予選トップに立った熊谷康男・三輪英則・山市遼平組の#890プアマンズR・STEP1号機をはじめとするチームメイトばかりという、いつものメンバーである。 面白くなりそうだったのが3クラス。 レギュラーの#17安藤義明&陰能裕一選手の“助っ人”に入ったの中谷健太郎選手。そして#79内田朋宏選手の“助っ人”が、FFでもFRでもどんなクルマに乗せても速さを見せる古井戸竜一選手である。 彼らが無敵のチャンピオン#33KEI NAKAMURA選手とどう戦うかが焦点となりそう。
N0-Vitzの4クラス、優勝候補の筆頭は#821アンドリーガルTVCチームだろう。スーパー耐久レースでも活躍中のアンドリーガル、今回はAドライバーにYarisやN-ONレースでもトップドライバーとして実績ある川福健太選手を起用、
予選2番手に2秒以上の差をつけてしまったのだから、このチームに勝つのは至難の業だろう。
決勝のスタートはローリングであり、ほとんど順位変動なく2コーナーまで行くのだが、4コーナー進入で#360三浦稔呂選手が、「後ろの黒いクルマにぶつけられて・・」とコースオフ。
スタート早々に1周も回らずセフティカーランの原因となってしまう。グラベルから引き出されレスキューロードからピットに戻ったのだが、これで勝負の権利は完全に失われてしまう。 その後は各チームとも予定通りにピット作業も終え、レースペースを守って、大きな変動もなくレースは続く。 残り30分を切って、2クラスのトップは#890STEP一号機、3クラスはやはり強かった#33NAKAMURA選手。 そして4クラスも想定通りに#821アンドリーガルがクラストップに立っている。 そして残り20分となる頃、またもセフティカーランとなる。2クラスの2番手という健闘を見せていた#710STEP4号機が8コーナー進入でスピン、グラベルベッドで動けなくなってしまったのだ。 再スタートとなっても順位の変動はなく、そのままチェッカー。 やはり実績あるドライバーを擁するチームが予定通りに上位進出。その厚い“カベ”を突き崩すチームは現れなかったのであった。
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