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2025-07-13 北海道クラブマンカップ第3戦レポート!!
国内トップドライバーの走りに接する年に一度のチャンス! レギュラーシリーズも中盤戦、タイトルの行方も見えてきたか!! 2025年 北海道クラブマンカップレースシリーズ第3戦 2025年 7月13日(日) 十勝スピードウェイ(クラブマンコース) ~トヨタとTGRこそ最大のサポーター!~ 現在のトヨタ会長であり、創業者である豊田喜一郎の孫でもある豊田章男氏が一般職の平社員としてトヨタに入社したのは1984年のこと。 そして課長職となった頃、若者のクルマ離れを危惧した章男氏が 「もっとクルマを楽しむモータースポーツを活性化しなければ!」 と構想を練ったのが“GAZOO Racing(TGR)”であり、 同時にモーターレーシングを身近にするためナンバー付車両によるワンメイクレースの開催に向けて各方面との交渉を開始する。 JAFをはじめ、警察や関係機関との長い交渉の末、とうとう実現したのが2000年にスタートを切った「ネッツカップ」だったのである。 それが現在では“GR86/BRZ Cup”や、日本最大のナンバー付ワンメイクレースとなった“Yaris Cup”に結実しているのだ。 トヨタのアマチュアレースに対する貢献度は他メーカーとは比較にならない程大きく、 北海道クラブマンカップにおいても、純レーシングカーのVITA-01はヴィッツRSに搭載されていたエンジンを使うし、 N1-1000は初代のヴィッツ、TS86/BRZは先代のトヨタ86とスバルBRZ、N0-Vitzは最終型ヴィッツのNCP131型のワンメイクであり、 すべてトヨタが関与しているのだから。 ~年に一度のトップドライバーレースが開催!~ 今回のシリーズ第3戦、パドックの様相が普段とまったく違っていた。![]()
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見慣れないテントやのぼり旗が立てられ、ピットガレージはほとんど満杯の盛況だったのである。 それはTGR主導の全国7か所のサーキットを転戦する“TGR GR86/BRZ Cup”のシリーズ第4戦北海道ラウンドが開催されたからに他ならない。 特にプロフェッショナルクラスは国内最高峰のレースシリーズであるスーパーGTやスーパーフォーミュラに参戦しているトップドライバーも多く、 注目の一戦となったのである。その有名ドライバーのサイン会なども行われ、ギャラリーサービスも怠りなく実施されていた。
このレースシリーズ、アマチュアメインのクラブマンクラスもあり、 ポールを奪った塙舜佑選手を予選5番手から追い上げた#338ナキーブ・アズラン選手がテールtoノーズの接戦の末オーバーテイクに成功し、開幕戦の九州ラウンドに続く2勝目を挙げた。
そしてプロフェッショナルクラス、ポールは神奈川トヨタの#97高橋知己選手が奪い、レース序盤のアクシデントでペースカーランとなる混乱もあったが逃げ切りの完全勝利を果たす。
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ただ残念だったのは国内トップカテゴリーで活躍する有力ドライバーが一人も表彰台登壇を果たせなかったこと。 同一車両によるワンメイクの難しさがそこにあるのだろうし、さらなるステップアップを目指す若手選手の勢いが優っていたとも言えるのだろう。 <TGR Yaris Cup> ~阿部晃太選手の健闘実らず、渡辺圭介選手が2連勝!~
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レース前日の土曜日、参加ドライバーには特別な理由のない限り出走が推奨されている専有走行時間があったのだが、ここでのトップは#831橋本優選手で1分44秒3。 これは第1戦のポールタイムとほぼ同等であり、北海道期待の“親子鷹”である#135阿部晃久選手(父)と#735晃太選手(息子)も同様のタイムをマーク。 開幕ウイナーの#34渡辺圭介選手は走り込む必要はない様子で、わずか4周ほど走ってピットインしてしまうが1分44秒台には入れていた。 そして予選、まずコースインしたのが#34渡辺選手。#735阿部(息子)と#135阿部(父)は4台目くらいに並んでコースイン、 互いに引っ張り合う作戦のようだ。 ただ#135阿部(父)にトラブルがあるようでタイムがなかなか伸びない。 その間にトップへ浮上したのが4周目にアタックした#390前田貴之選手。 このタイムはその後も破られず、初のポールを決める。2番手に#34渡辺選手、 3番手に#735阿部(息子)と順当なグリッドとなったが、驚かされたのが#310長谷川廉選手。
タイヤに熱が入った2周目にアタックし、想定したタイムが出たようでそのままピットイン。 その後も走らずに予選4番手を決めたのである。これまでなかなか思うような成果が残せなかった#310長谷川選手だが、今回はレースのキーポイントを握る一人となりそうであった。 決勝のスタート。 絶好のダッシュをみせたのはポールの#390前田選手、 クルマをアウト側に持ち出すラインを取った#34渡辺選手はそのテールに付き、#735阿部(息子)は3番手のまま第1コーナーをクリアしてゆく。
残念だったのは#310長谷川選手で、スタートに備えてアクセルコントロールしていたのだが、わずかにエンジン回転が下がった瞬間にスタート合図のレッドランプが消えてしまったのだ。 スタートダッシュに失敗した#310長谷川選手、これで6~7番手まで順位を下げる。 4番手集団の一角にいた#135阿部(父)が3周目に入るところでスローダウン。 エンジントラブルらしくペースが上がらず最後尾まで下がってしまう。 上位3台による先陣争いは終盤戦に突入するが、余裕のあったのは#34渡辺選手、ラスト2周となったところで#390前田選手をパスしてトップ浮上。 #735阿部選手(息子)も#390前田選手に迫るのだがパスに手間取り、#34渡辺選手が差を広げて2連勝のチェッカー。 3位チェッカーは着実に順位を上げていった#831橋本優選手が受けたのだが、他車との衝突事案があり、それが危険行為と見なされペナルティ、 #390前田選手が繰り上がりで表彰台のラストを手にした。 10月の最終戦まで3ヵ月、このインターバルの間にマシンセッテイングやドライビングの見直しにはたっぷりと時間はある。道内勢が次戦をどう戦うか、期待して待ちたいと思う。
<VITA-01> ~四倉悠聖選手、またもトップチェッカー!!~
全国各地のサーキットでレースが開催される7月、前週にはSUGOでスーパー耐久があり、 この週はスズカでチャンピオンカップとスケジュールが立て込んでいた佐藤元春氏率いる恒志堂レーシングは、今回も#910工藤大祐の1台だけの出走とちょっと残念。
ただ有力チームである栄建設TBRチームも同じSUGOのスーパー耐久にも出場していたのだが、今回も#777瀬戸惇吾選手、#778四倉悠聖選手が参加してくれている。 前戦で#77村上泰規選手が2位に入り意気上がる足立眼科MRCチームも#30坂本幸照選手との2タッグは変わらない。 GR86/BRZの決勝レースが終わった直後の予選、コースの荒れが気になったのだが整備は万全のようで問題はなさそう。 まずトップに立ったのは、「昨日とはコースコンディションが違っていて、ちょっと走りにくい。 クルマにもトラブルがあって、まあ僕のクルマはフレームは2010年型ですから15年前。 エンジンもメンテはしてますが5万キロくらいは知ってますからトラブルも出ますよね。 でもチームスタッフがしっかり整備してくれてますからそれに期待します」と言う#77村上選手。
惜しくも連続ポールを逃したのは、「昨日、トラックリミット防止のポールにぶつけて倒しちゃったんですよ。 なんだか、それでツキが落ちたようで、コーナー立ち上がりのアクセルオンのタイミングがまったく合わなくて・・まあ決勝までには修正します!」と言う#778四倉選手。 実はこの2者、双方ともにトラックリミット違反を犯して当該ラップのタイムが抹消されていたのだ。 天候やコンディションは悪くなかったわけで、前戦のポールタイムを上回れなかったのはそれが大きな要因だったようだが、3番手に#777瀬戸選手、4番手が#910工藤選手といつもの顔ぶれが予選上位を占めた。 そして決勝。フォーメーションラップを終えて全車グリッドに付いたのだが、ここでスタート進行にミスがりディレイ、1周減算で再スタートとなった。 再度フォーメーションラップから始まった2回目のスタート、クラッチミートも決まってアウト側を一直線に加速していく#77村上選手がホールショット。
クルマをアウトに寄せた#778四倉選手が2番手のままで、その直後に#777瀬戸選手が付けるのだが、その空いたスペースに切り込んでいったのが#30坂本選手で、 #777瀬戸選手のインから並びかける絶好のスタートを見せる。 ここでミスしたのが#910工藤選手。 「クラッチミートのタイミングが合わず、エンジン回転が下がったところでスタート合図。ストールしなかったのがラッキーなくらいで、このミスで3台くらいに抜かれて・・。 なんとか挽回しましたけど、あのミスさえなければと悔やんでも悔やみきれません!」と残念そう。 テールtoノーズで続くトップ争い、まず動いたのは#778四倉選手。
4周目の第一コーナー、ラップは僕の方が良かったのでインから仕掛けました。 ただクロスラインを取られると並ばれると思いましたが、そこは何とか凌ぎきれました」とトップ進出。 2番手に下がった#77村上選手、「どこでアタックされるか用心していたんですが、あれは防げませんでした。 ブレーキの感触が悪化してましたが、あのラップはそれが急に来たんですよ、ロックしてしまい為す術なかったです。 クルマをまた見直してチャレンジします!」 3位は、「予選からセッテイングを変えたんですが、それが外れ。タイヤの発熱もあったとは思いますがオーバーステアが出てしまいました。そこで3番手キープに作戦を変更しました」と#777瀬戸選手が入賞。
悔しがるのが4位に終わった#30坂本選手、「レース終盤には#777瀬戸選手に追いつきましたからね、 「レースに「たら・れば」はありませんが、もしスタートディレイが無くてあと一周あったら結果は違っていたかもしれません」と悔しそう。 いずれにしても#778四倉選手が無敵の3連勝を遂げたのは事実であり、残るは9月21日3時間耐久レース、10月19日最終戦スプリント1戦のみ。 おそらく栄建設TBRチームにはタイトルが見え始めたに違いない。
<N0-Vitz> ~またもや高見選手が独走で2連勝達成!~
トヨタから新型コンパクトカーの決定版としてヴィッツが発売され、それを使ったワンメイクレースが始まったのが2000年の事。 ネッツカップヴィッツレースと呼ばれたこのレース、その翌年には十勝スピードウェイでも北海道シリーズが開催されるようになる。 それ以来、参戦を続けているのがネッツトヨタ札幌である。 当初はスケートの女子メダリストやラジオパーソナリティをドライバーに起用してきたが、結果が出ないのは当然のことだった。 そこで、外部からのドライバーではなく、ディーラーチームらしく社員一丸となってレースチャレンジしようと社員の中からドライバーを選抜し、練習を重ね参戦を継続してきたのである。 転機はヴィッツがヤリスへとモデルチェンジし、旧型となったヴィッツだけの新しいクラス、“N0-Vitz”が生まれた時である。 社有車としてヴィッツのレースカーを持ち続けていたネッツトヨタ札幌レーシングチームは、この新しいクラスにも参戦する事になったのである。
誰が勝ってもおかしくないと実力伯仲となった昨シーズンの最終戦、#206えふで校長選手にテールtoノーズに迫る2位、 今シーズンの開幕戦では大ベテランの#87加藤由記選手に勝たれたものの3位と、優勝まであと一歩のところまでチームのレベルは上がって来ていたのである。 そして前戦である、後続に20秒もの大差をつけてとうとう“優勝”を手に入れる事に成功するのだ。 この20秒という大差、これは別クラスといってよいくらいの強さだったのだ。 今回もその強さは変わらず、予選から2番手の#8高野麻衣選手に1秒3もの差をつけ、決勝でも後方で#8高野選手や#821上田浩司選手のポジション争いをよそに独走ウインを果たす、今季2連勝。 この強さは本物になってきたようだ。
<TS-86/BRZ> ~とうとうNAKAMURA選手に土がついた!~ この旧型86/BRZによるレースに姿を現して以来、一度として負けたことがないのが#32KEI NAKAMURA選手である。 時折ポールを奪えなかったり、#34小野寺俊選手の先行を許すこともあるが結局は勝ってしまうのだ。 今回もその繰り返しになると誰もが思っていたのだが、#34小野寺選手だけは違っていたようだ。 予選、#小野寺選手はタイヤのウオームアップが終わると次のラップにアタックし、ピットに戻ってしまう。 それは#32NAKAMURA選手も同様で、全車が出た後、予選時間が半分を過ぎたころにコースインしてポールタームをマークしてピットイン。 他のドライバーが7~8周回る中、彼らだけがアタック一回だけで終わらせるのはいつものこと。 ちなみにポールタイムは1分38秒台。 GR86/BRZのアマクラスのポールタイムは1分35秒台であり、ドライバーの技量にさほどの差があるとは思えず、 やはり現行型GR86と旧型のポテンシャル差と装着タイヤで差が出るのだろう。 さて、2番手となった#34小野寺選手だが、今回は期するものがあったようで、 「予選からニュータイヤを使いました、新品のグリップが失われないように予選は最小限で済ませて、タイヤを温存ですよ」 さらに「なんとかスタートからトップに出て、そのまま一度も先頭を譲らずに走ってみたいもんですよ、今回できればいいんですけどね」と笑う。そしてそれが現実のものになるのだ。 決勝のスタート、例によってポールの#32NAKAMURA選手は出遅れ、#34小野寺選手が先行するが、 これはいつもの事。2~3ラップするうちに再び#32NAKAMURA選手がトップを奪い返すのだが、今回はなかなか順位が変わらない。 #34小野寺選手が巧みなライン取りでスキを与えないのだ。
そして最終ラップ、第1コーナーから何度もアタックし続けた#32NAKAMURA選手、 「狙っていたのは左ターンの第8コーナーで、これが最後のチャンスと思ってましたからね」 とインに切り込んでいったが、#34小野寺選手の左リアに接触。両者ともに再スタートを切って、#32NAKAMURA選手がトップチェッカーを受ける。 しかし問題はここからだった。 最終ラップの接触が審査の対象となり、ゴールから2時間近く経ってから出された正式結果は#32NAKAMURA選手に10秒加算のペナルティで、優勝は#34小野寺選手というものだった。 後味の悪い結果であったが、ここまで無敵の存在だった#32NAKAMURA選手にとうとう土が付くことになったのであった。 <N1-1000> ~阿野雅樹選手、またもや逆転の3連勝!~
例によってすべての参戦車両が水田貴之率いるステップ・エンジニアリングで車両メンテナンスを受ける予選アタック、 いつも通りに#66酒井正和選手と#33阿野雅樹選手がタイムの削り合いを展開するが今回は#33阿野選手がポール奪取となる。 そして決勝、またもスタートのうまさでは定評のある#360三浦稔呂選手が絶好のスタートダッシュでホールショットを奪う。
このトップ争い、ラップタイムでは#33阿野選手に余裕がありそうなのだが、#360三浦選手もうまくブロックラインをトレースして抜くスキを与えない。
その攻防はラスト2周を残すまで続くのだが、そこで#33阿野選手が一気に勝負をかけオーバーテイク、今季負け知らずの3連勝を飾る。 ゴールした両雄、#360三浦選手が「なんとかブロックしてやろうと思っていたんですが、守れなかったですね」 と言えば、#33阿野選手も「あそこは三浦さんに譲ってもらったようなもんですよ」と双方の健闘を称え合う二人、やはりこのクラス、“オトナ”のレースだったのである。
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