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2025-06-08 北海道クラブマンカップ第2戦レポート!!
抜けるような“十勝晴れ”の空の下、接戦バトルの連続! ベテラン、ニューカマー入り乱れてのシリーズ主導権争いがますます激化!! 2025年 北海道クラブマンカップレースシリーズ第2戦 2025年 6月8日(日) 十勝スピードウェイ(クラブマンコース) ~決して色褪せないモーターレーシングの魅力!~ バブル景気華やかなりし折には、北海道にも一時は4ヵ所ものレーシングコースがあったのだが次々に消え去り、 今では今年で開業32年目を迎える「十勝インターナショナルスピードウェイ」が唯一となってしまった。 そのせいもあり、十勝の存在感はさらに増し、北海道モータースポーツ界の中心と言っていいだろう。 今シーズンの第2戦となった今回も、開催5クラスによって参加台数の上下はあるが、どのクラスも接戦バトルの連続となったのである。 <TGR Yaris Cup> ~阿部“親子鷹”の追撃実らず、渡辺圭介選手の逃げ切りウイン!~日本最大規模のワンメイクレースシリーズである「TGR Yaris Cup」、今年も例年通りに全国7サーキットを舞台に5シリーズが開催される。 4月の九州シリーズ(大分オートポリス)を皮切りに、5月には関西(鈴鹿サーキット)、関東(モビリティリゾートもてぎ)の2シリーズ、 そして今月は北海道(十勝スピードウェイ)と東北(SUGO)も開催されすべてのシリーズがスタートを切った。 我々の地元ラウンドである北海道シリーズ、出走台数は25台。鈴鹿やもてぎの50台オーバー程ではないが九州を超える台数で、 北海道はTOYOTA GAZOO Racingにとっても重要なシリーズになっている。 また、参加台数の半数以上が北海道選手であり、今年こそ地元勢のホームコースでのタイトル奪取に期待が集まったのである。 注目の予選アタック、次々とコースインしてゆくが、駆動輪はレース毎に新品の装着が義務付けられており、その新品グリップを決勝まで維持する必要からかアタックは早め。 #34渡辺圭介がまず1分34秒台に入れてくる。#753笠原潤一郎が続き、道内勢期待の親子ドライバーである父親の#135阿部晃久、 息子の#735阿部晃太が互いにスリップを使い合いながらタイムを縮めてくるが#34渡辺には届かず。 とはいえ、予選トップから12番手まで1秒以内というノーマルワンメイクらしい僅差であり、決勝はわずかなミスで順位が変わってしまうバトルが予想されたのである。
そして決勝、ポールスタートというマージンを生かし一直線に加速した#34渡辺がホールショットを奪う。 激しかったのは2番手争いで、#753笠原のアウトから#135阿部(父)がボディが触れ合うほどの気迫で襲い掛かり並走のまま1コーナーをクリア。
その後方でも#831橋本優と#735阿部(息子)が1コーナーまでの加速合戦を展開し、
この5~6台による2位集団のバトルは決着がつかず、そのためラップタイムも落ちはじめ、トップ#34渡辺との差が広がってしまう。 「この状態はマズイ。渡辺選手に逃げられてしまう!」とまず集団を抜け出したのは#135阿部(父)、トップ追撃を開始するのだが、コンマ5秒ほどの差はなかなか縮まらない。 今回は父親に華を持たせようとしたのか、3番手をキープする#735阿部(息子)は後方集団に抜くスキを与えない走りを展開。この5周目までにレースの行方はほぼ定まったといえよう。 トップには届かなかったが2位、3位を分け合った阿部親子、「世代交代なんだろうけど、今回はチャンピオンの川福健太選手が出ていないからね、息子と二人で道産子の心意気を見せてやろうと思ってさ!」 という阿部晃久、息子の晃太ともに次戦の巻き返しに期待できそうだ。
<VITA-01> ~ルーキー四倉悠聖選手、またしてもパーフェクトウインを達成!!~
開幕戦はスケジュールが合わず、#910工藤大祐の1台だけの出走だった道内最大勢力チームである恒志堂レーシング、 今回はチームオーナーの#12佐藤元春をはじめ、#310浅井康児も加わり3台体制で戻ってきてくれた。 ただ、前週には富士24時間レースのST-5Rクラス2位入賞を果たした疲労が残っていたのか#12佐藤も「クルマのセッティングはOKなんだけど、まわりのチームがうまく走っているようだね」とちょっと精彩がない。 その“うまく走った”チームのひとつがTBRチーム。 TBRというより、NHKのテレビ番組でも取り上げられた「栄建設レーシングチーム」と言った方が分かりやすいだろう。 彼らもスーパー耐久シリーズに参戦しており、道路公団パトロールカーと同じカラリングから全国的にも『公団ちゃん』として知られるチームである。 富士24時間では惜しくもST-5Fクラスの2位。 チームオーナーである栄建設社長の佛田尚史氏も「もう悔しいですよ、優勝のチャンスはしっかりありましたからね。 最後の1時間過ぎにもっと追い上げられたら優勝チームはガス欠してかもしれないんですよ。 それが私のチームにもちょっとしたトラブルがでてラップタイムを上げられなかった。 だから、今回は負けられないんです!」と決意表明。 そのチームオーナーの期待に応えるように開幕戦では完全制覇を果たした#778四倉悠聖が2番手の#77村上泰規をコンマ6秒以上離してポールポジションを確定する。
ただチームメイトである#777瀬戸惇吾は4番手に終わり、「自分ではやり切った!と思うほど、限界で走ったんですが・・クルマのセッティングを変えた方がいいかもしれません」と納得がいかない表情。 チームのクルーチーフである大島良平(彼もVITA-01のトップドライバーだった)は、「四倉と瀬戸のクルマは多少セッティングを別にしてるんですよ。 今回は四倉車のセッティングが合っていたかもしれません」と作業にかかる。 栄建設チームをはじめ、常連チームが気にしていたのは今回がVITA-01初出場の#55川福健太の存在。
そう、ナンバー付ワンメイクレースでは、TGRヤリスカップの北海道シリーズ、東北シリーズの双方でチャンピオンとなるなど、充分な実績を持つ川福である。 そして、川福は富士24時間レースでもST-5Fクラス優勝を果たした北海道関連チームのドライバーでもあったのだから、栄建設チームにとっては“仇敵!?”であり、「今度は負けないぞ!」と思うのは当然だったのだ。 その川福、「なにしろVITA-01のレースに出るなんて初めてですからね、 チームからは「好きなようにセッティングを変えていいよ」と言われたので自分流に作り直したんですが、うまくいかない。 やはりコースに慣れている地元ドライバーのアドバイスも参考にしようと思い、それを取り入れてから違和感はなくなりましたね」と予選3番手タイムをマークする。 そのあたり、さすがにクルマに対する順応性の高さと、多数のタイトルを手中にしてきた実績が発揮されたのだろう。 そして決勝。迷うことなく一直線に進み加速する絶好のスタートを見せた#778四倉が早くも後続に明らかな差をつけてホールショット。
セカンドグリッドの#77村上もわずかにインにクルマを振ったがそこからはストレートに加速して2番手は確保する。 しかし上位2台の後方ではちょっとした混乱が起きていた。 4番グリッドの#777瀬戸が、前方の#77村上や#55川福に並びかけようとストレートのイエローラインのさらに内側、コンクリートウォールぎりぎりを加速していったのである。
このため#55川福もインにクルマを振らざるを得ず、この間にアウトを進んだ#30坂本幸照の先行を許してしまう。 このスタート直後の先陣争いが上位2台のリード拡大をより楽にさせてしまったと言えよう。 激化する3番手集団、ポジションを守った#55川福の直後に#777瀬戸、#30坂本と続き、 それにスタートミスから順位を下げていた#310浅井康児と#910工藤の恒志堂勢も加わり、大接戦となっていた。
そこに変化が起きたのは10周目、勝負をかけた#777瀬戸が#55川福のインに飛び込み並びかけるのだが、#55川福のボディサイドと#777瀬戸のリアがわずかに接触してしまったようで#777瀬戸がスピン。 直後にいた#310浅井、「もう少し若かった時なら避けられたと思うけど、今回は目の前でスピンだからね、よけ切れなかった」とクラッシュし、ここで両車ともリタイヤとなってしまうのだ。 これで#910工藤が、それぞれが大量リードを奪っての単独走行となっていたトップ2台から相当遅れたが、見事に3位を確定。 ポディウム下に帰って来るや、コクピットに立ち上がり、両腕を突き上げ「やった!!」と雄叫びを上げる。そして駆け寄る2位の#77村上と抱き合い、喜び満面の表情で互いの健闘をたたえ合う二人。
「4年間もVITA-01のレース活動を続けてきましたがやっと表彰台にたどり着けました! 村上さんからは「いつか一緒に表彰台に登ろうぜ!と励まされてきたんですよ、その約束が果たせました!最高にうれしいです!」と#910工藤、 2連勝を飾った#778四倉と共に、このレースのヒーローだった事に間違いはあるまい。
<N0-Vitz> ~待ちに待ったその日が来た!高見選手が初優勝!~
トヨタの新型コンパクトカーとしてヴィッツが誕生したのは丁度世紀が変わろうとする2000年のこと。 そのヴィッツの販売キャンペーンとしてトヨタが新たにスタートさせた日本初のナンバー付車両によるワンメイクレースがTGRヴィッツレースだった。 そのレースシリーズが北海道でも始まると真っ先に参戦してきたディーラーチームがネッツトヨタ札幌だった。 ネッツ札幌は前身のトヨタオート札幌の頃からTRDスポーツコーナーを持つなどモータースポーツには積極的に取り組んでおり、ヴィッツレース参戦を決めるのは当然だったのだろう。 しかし、そこからが苦戦の歴史が始まる。 とにかく勝てないのである。表彰台は見えているのだが、“優勝”の二文字に届かない。しかし彼らは決してあきらめなかった。 GAZOO Racing はヴィッツからヤリスに参戦車両を変更するのだが、ネッツ札幌チームはヴィッツに拘った。 もちろん「Yaris Cup」にも参戦するが、「N0-Vitz」として残されたヴィッツでのレースにも参戦を継続するのだ。 そこにはクルーチーフである竹山智也は元より、長い間チームの主戦ドライバーだった本間俊介、2021年から乗り始めた田村康隆など、ヴィッツレースに関わってきた社員すべての心意気でもあったのだから。
そしてとうとうその日が来た。前日のスポーツ走行から順調にクルマを仕上げてきたネッツ札幌チーム、 予選アタックが始まって2周目には現在の主戦ドライバーである#730高見俊光が1分46秒台をマークして見事にポールポジションを決めるのだ。
2番手の#821上田浩司とは1秒近い差があり、これは同一車両で走るワンメイクレースでは決定的優位に立てる圧倒的リードなのだ。
決勝でも#730高見の速さは全く変わらず、後方で#8高野麻衣、#206えふで校長、#821上田浩司の3台が何度も順位を入れ替えるバトルを展開するのをよそに20秒もの大量リードを奪って独走ウインを果たすのである。 とうとう“優勝”の二文字を手に入れたネッツ札幌チーム、今年こそこのクラスの主導権を握り続けてくれるはずだ。
<TS-86/BRZ> ~KEI NAKAMURA選手、またもや優勝!~
この旧型86/BRZによる同様なレースは北海道以外にも富士スピードウェイや岡山サーキット、大分オートポリスでも開催されているが、北海道は相変わらず参加台数の増加は見られず、今回もわずか4台の出走。 そうなればスポンサーが離れるのも道理で、今年から優勝者へのブリヂストンRE71RSワンセットの賞品はなくなったとのこと。参戦ドライバーにとっては辛いだろうが、これも仕方あるまい。 そしてレースだが、またもや#32KEI NAKAMURAのライバルを寄せ付けない“横綱相撲”の圧勝に終わる。 3周目には#34小野寺俊が先頭に出て2周ほどトップを走るが結局はパスされるという彼ら二人の“台本通り!?”に展開。
このクラスの出場以来、一度も負けたことのない#32NAKAMURA。 時折、そこに迫る走りを見せてくれる#34小野寺、おそらく北海道には彼ら二人を超えてゆくドライバーは現れないだろうと思わせるほどの強さを見せつけてくれた。
<N1-1000> ~いつものチームメイトバトルはまたも阿野雅樹に軍配!~
今回はちょっと減って出走5台となったこのクラス、例によってすべての参戦車両が水田貴之率いるステップ・エンジニアリング所属のチームメイト同士。 それでも順列はあるようで、昨年の最終戦から連勝中の#33阿野雅樹と、またもポールを奪った#890酒井正和が優位にあるようだ。 決勝のレッドランプが消えると同時に、スタートダッシュのうまさに定評のある#360三浦稔呂が3位に上昇。
トップを行く#890酒井だが、5周目に入ったところでマシントラブルからスローダウン。 このスキに#360三浦が#33阿野をパスして先頭に出るのだが、その三浦も8周目に単独スピンで後退し、結局#33阿野がまたもや優勝を飾るのだ。 ここ一発の速さはないが、粘り強い走りで気が付けばトップを争っている阿野の存在、タイトル候補の筆頭と言ってもいいかもしれない。
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