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2022-09-21 北海道クラブマンカップレース第3戦レポート!
チェッカー寸前の大逆転劇! レース戦略を信じ、それを守り切ったゼッケン61番HDC平中自動車チームが優勝を果たす!! 2022 北海道クラブマンカップレース第3戦 2022年 8月21日(日) 十勝スピードウェイ(クラブマンコース) ~年に一度の耐久レース!~ 十勝スピードウェイで開催される北海道クラブマンカップ、年間5戦のシリーズなのだが、唯一耐久レースが組み込まれているのはこの第3戦のみ。例年、「TOKACHI3時間耐久レース」として人気を集め、今回もVITA-01のクラス1に13台、N1-1000のクラス2に7台、トータル20台のエントリーとなった。 そのVITA-01、その販売台数はすでに300台を大きく超え、純レーシングカーとしては世界的にも有数の実績を誇る車両であり、スプリントばかりじゃなく女性ドライバー限定のレースや、男女混成チームによるレースなど独自の発展を見せている。 また、エンジンはトヨタ・ヴィッツRS用ノーマルと耐久性があり、タイヤもサイドウォールに「公道走行は出来ません」と表示されているダンロップ製のV01というVITA-01レース専用なのだが、スリックでもSタイヤでもないため急激なグリップダウンも少なく、3時間程度のレースであれは充分に対応できる。そのため全国各地のサーキットでVITA-01の耐久レースも盛んに行われているのだ。 十勝での耐久レース、そのポイントひとつが前述したように純レーシングカーであるVITA-01と、初代ヴィッツのN1仕様車が混走する点だろう。 その性能差は大きく、VITA-01の上位陣とN1ヴィッツのテールエンドとは20秒ものラップタイム差がある。つまり、4~5周のうちにラップ遅れ車両が現れ、VITA-01勢は常に次々と現れるN1ヴィッツを抜き去る作業を強いられるわけである。ただ、スーパー耐久などはもっと極端で、ST-Xクラスの日産GTRやポルシェ911GT3、メルセデスAMGなどとST-5クラスのホンダ・フィットやマツダ・デミオなどが混走する。耐久レースにとって性能差のある車両が混走する事は当然であり、それをどう処理するかはチームの総合力の勝負であり、それこそが耐久レースの醍醐味でもあるのだから。 ~渾身のアタック! #12佐藤元春選手がポールポジション獲得!~ このレース、最大で3名のドライバー登録が認められているのだが、予選はAドライバーとBドライバーだけがそれぞれの時間枠でタイムアタックし、Cドライバーの走行枠は設けられているが、そのタイムは予選結果には反映されない。やはり主戦ドライバーであるAドライバーの力量が重要なのだ。 朝8時25分からのAドライバー枠、#12佐藤元春選手と#778大島良平選手が互いにタイムを削り取ってゆくが、最終アタックで佐藤選手がトップタイムをマーク。Bドライバー枠では#61四倉悠聖選手がトップとなるのだが、総合では#12恒志堂レーシングがポール。そのタイムも7月のシリーズ第2戦のタイムを大きく上回り、まさに渾身のアタックだったのだ。 ポールを獲得した#12恒志堂レーシングの佐藤選手、実は今シーズン、GTワールドチャレンジ・アジアの日本ラウンドに参戦している。鈴鹿と富士ではGT4クラスの優勝争いに加わる大活躍。残るSUGOと岡山でも好成績が期待できるほどだったのだが、SUGO戦とこの耐久レースは日程がバッティングしていた。さらに、ペアを組む平中克幸選手のスケジュールも合わず、残念ながらGTチャレンジ参戦を断念し、この十勝での耐久レースに焦点を絞っての参戦だったのだ。そのため、ここはどうしても負けられない一戦だったのだろう。 その佐藤選手、「スタートから全力で走ってリードを広げ、レース中盤からの展開を有利にしたいと思っていたので、どうしてもトップからスタートしたかったんです。ここまでは作戦通りで、残る恒志堂レーシングの3台も上位を走ってくれて、表彰台を独占できれば最高ですね!」と話してくれた。 クラス2では、愛知から遠征参加の#57オヤジレーシング以外はすべてエントラントがステップエンジニアリングであり、クラブ内バトルの様相。 #95シンリョウ993の中谷健太郎選手と、#710夢住まい館リプロ東日本の大橋悠一郎選手の100分の1秒を争うアタック合戦となったが#95中谷選手に軍配が上がった。 ~大混乱のレース前半、そして赤旗中断!~ セフティカー先導によるローリングから決勝レースはスタート。ポールの#12佐藤選手が一気にスパートし、田代良二選手の#778TBRとの差を徐々に広げてゆく。4周目には想定通りにクラス2のヴィッツが前方に現れ、それを次々にクリアしていったのだが、#12佐藤選手は7周目のタイトな8コーナーでアウト側にいたクラス2の#9三浦稔呂選手と接触。三浦選手はスピンした後、アウトのグラベルにスタックしてしまった。 両者には明らかな速度差があり、イン側にいたのは佐藤選手なのだが、三浦選手も混戦状態の中で車高の低いVITA-01をミラーで確認するのは難しかったのだろう。このためフルコースイエロー(FCY)となり、スタック車両を戻す作業のためセフティカーランとなる。これで先頭の#12佐藤選手のリードは帳消しとなり、さらにFCYの間に先行車を抜いてしまうミスを犯した#778田代選手には10秒ストップペナルティが課され、最後尾近くまで順位を落としてしまうのだ。 3周のセフティカーランのあと、#12佐藤選手を先頭にレース再開。2番手には#3さくら眼科の常連ドライバーである古井戸竜一選手が上がってくる。 そして真っ先にピットインしてきたのは#61HDC日本平中自動車の平中繁延選手。昨年は子息のGTドライバー克幸選手を組んでいたのだが、今回は若手の四倉悠聖選手とペアを組む。「私はね、67歳の高齢者だから疲れるんだわ。だから早めのピットイン。と言うより四倉に経験を積ませたいんだわ。クルマに慣れてもらうには耐久が一番だからね!」と四倉選手を送り出す。 スタートから50分ほどで順調に周回を重ねていた恒志堂レーシングの2台、#910工藤大佑選手と#516木下祐稀選手がピットインし、それぞれドライバー交代を済ませてコースへ戻る。その直後、#12佐藤選手もピットインしてくるが、マシンは完調ではないようで、エンジンベイには冷却水が漏れた跡が歴然としていた。石崎選手に交代し、一旦レースに戻る。 さらに混乱は続く。先ほど冷却水漏れでピットインし、石崎選手に交代した#12号車がエンジンブロー。5コーナから、コース上にオイルを撒いてしまい、その処理のため赤旗が掲示され、レース中断となってしまうのだ。オイル処理はかなりの広範囲だったため、作業時間は長引き、ドライバー達はメインストレッチにマシンを置いたまま、中断は30分近くに及んだのである。 ~勝敗を分けたのはピット戦略の差か!?~ 長い赤旗中断の後、13時45分に「5分後に再スタートに向けてのフォーメーションラップをスタートさせる」というインフォメーションがあり、その時間通りにセフティカー先導の周回がスタート。実質的な競技時間が1時間ほどとなった頃、ようやくセフティカーランが終わりレース再開となる。 その瞬間を待っていたようにピットインしてきたのはトップにいた#61平中自動車。四倉選手から平中選手にドライバー交代してピットオフするが、わずか5周ほどで再度ピットへ入ってくる。クルマを降りた平中選手、「これでピットストップ3回の義務は終了したから、あとはコース上の問題。四倉がしっかり走り切ってくれると思うよ・・」と多少の不安はありながらも自信の表情。 この時点でトップに立ったのは#8東京IRCおうちの買い方vivo、Aドライバーのイシカワヨシオ選手、「せっかくトップに出ましたからね、これをキープしたいんですが、もう一回ピットインしなきゃいけない。でも、これが我々の作戦でしたから、なんとか逃げ切りたいです」と順位ボードを見つめる。 もっと極端な作戦だったのは#55Gets&Matsだろう。「とにかくスタートからガス欠寸前まで走り続けようと思っていました。今もそうですが、長く走り続けてピット作業を遅らせて周回数を稼ぎたいんですよ」と後藤比東至選手。 ただ一回のピットインで停止時間は3分であり、3分あればトップチームの車両は2周以上周回できる。つまりピット作業を遅らせてマージンを得るには2周以上のリード、できれば3周差をつける必要があり、このあたりは微妙なところだろう。 残り40分を切る頃、上位争いは大きく動き始める。10秒ストップのペナルティを課されながらも順位を挽回してきた#778TBRが最後のピットインを終えて大島選手がコースへ出てゆく。トップ争いはピットインを先送りする作戦の#55Gots&Matsと#8東京おうちの買い方vivoの2台なのだが、残り20分を切る頃に#55が2回目のピットへ。#8も残り15分でピットへ向かう。これで2番手に浮上してきたのが#910恒志堂910号機だったが、彼らにもピットストップ義務が残っていた。 レース終盤となって上位陣が次々とピットインし、順位が目まぐるしく変わる大混乱が終わった後、トップにいたのは#61平中自動車の四倉選手だった。ラップタイムも安定し、時には予選タイムと同等の1分33秒台で周回する四倉選手を脅かすチームは存在していなかった。唯一追い上げてきたのは#778TBRの大島選手だったが、四倉選手はまったくあわてず10秒ほどのリードを確実に守り切ってのトップチェッカーだった。 クラス2では序盤には上位にいた#891NMRサービスにセフティカーラン後の再スタートで追い越し違反がありペナルティを課されて後退。予選上位だった#95シンリョウ993BBZと、#710夢住まい館リプロ東日本がピットストップごとに順位を入れ替える接戦となったが、わずかコンマ3秒差で#95が逃げ切りに成功した。 ゴール後、2位の#778大島選手、トップの#61四倉選手を指さし、「四倉、速すぎる!追っても追っても追いつかなかった!」と勝利を称えれば、四倉選手も「なかなか順位は上がってこないし、後ろは大島さんですから気になっていましたが、チームの作戦を信じてペースを守りました!」と勝利の弁。 そこには、互いにリスペクトしあう姿勢と、勝敗を越えて同じクルマを使ってレースを楽しむ、いわば「VITA-01の“輪”」のようなものが出来上がっているのである。それはクラス2のヴィッツ勢も同様であり、これこそが十勝のレースを盛り上げる原動力となっているのだろう。 ~併催のレギュラーレースはトップが独走ウイン!~ 併催のTS86/BRZ・N0-Vitzレース、両クラスとも予選1位のドライバーがその順位を守り切ってゴールとなった。TS86/BRZはポールスタートの三浦稔呂選手が光内宏樹選手の追い上げを受けながらも1秒差でチェッカー。 N0-Vitzでは予選から好調で、2番手に1秒以上の差をつけた平林千真選手が後続をまったく寄せ付けず独走ウインを果たした。
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