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2023-09-17 北海道クラブマンカップ第4戦レポート!!
チェッカー寸前の大波乱! ポールからスタートしたSEワイズチームの坂本・村上組が逆転の初優勝を飾る!! 2023 北海道クラブマンカップレース第4戦 2023年 9月17日(日) 十勝スピードウェイ(クラブマンコース) ~年に一度の3時間耐久レース!~ 十勝スピードウェイで開催される北海道クラブマンカップ、年間5戦のシリーズなのだが、開催時期は年によって変わるが、最近は必ず耐久レースが組み込まれている。 今年は9月の第4戦に「TOKACHI3時間耐久レース」として組み込まれ、今回もVITA-01のクラス1に14台、N1-1000のクラス2に10台、トータル24台のエントリーと人気を集めている。 昨今はスーパーGTでも走行距離が450キロのレースが増え、それを“耐久”と呼ぶことはないのだが、 このレースは3時間とはいえ参加者はアマチュアかレース経験のあるジェントルマンドライバーが主体であり、 その点からはやはり“耐久”なのである。 またワンメイクレースが主流の十勝では、大きく性能差がある2車種が同時に走るレースはこの「3時間耐久」だけ。 もちろんスーパー耐久など、ポルシェ911GT3や日産GTRなどと、フィットやデミオが混走するわけで、 十勝の耐久ではそこまでの差はないとはいえ、VITA-01とN1ヴィッツではラップタイムで20秒以上の差がある。 そのためトップ集団はわずか3~4周のうちにテールエンドグループに追いついてしまうのだ。 先を急ぎたいVITA-01勢だが、N1ヴィッツ勢もレースを戦っているわけで、それをどうかわしてゆくかも“耐久”の面白さなのだろう。 参加者も道内のレギュラードライバーばかりじゃなく、関東をはじめ各地からの遠征参加も多い。 その中には十勝を初めて走る選手も多く、練習走行からスピンやコースアウトが多発。 これがレースにどう影響するか、多少の不安もありつつ楽しみなレースとなったのである。 ~技量はほぼ同等、坂本幸照・村上泰規組が狙いすましたポール奪取!~ このレース、最大で3名のドライバー登録が認められているのだが、決勝のグリッドに反映されるのはAドライバーとBドライバーのタイムのみ。 やはりA登録された主戦ドライバーの力量が重要なのだ。スタートは必ずAドライバーが担当であり、スタート直後の先陣争いをクリアしなければならないのだから。 とはいえBやC登録のドライバーの力量が劣っていては勝負にならない。共に好タイムをマークできるドライバーラインナップを組むことが勝利への近道といえるだろう。 まずはAドライバーの予選アタック、1クラスで最初に1分32秒台に入れてきたのは#778大島良平選手。 それに久しぶりの参戦となる#3面野一選手が続くが、これで決まるはずもない。 #17坂本幸照選手が連続して1分31秒台をマーク、このところ快調の#310浅井康児選手も続き、このあたりは想定通り。 #12佐藤元春選手は7番手と出遅れたのだが、これは重量ハンデのチェックのためだろう。このレース、体重差が大きいペアの場合、その体重差をハンデとされる。 小柄な上野大哲選手と組んだ佐藤選手の#12号車には20キロのウエイトハンデがあったのだ。 #778大島選手も女性ドライバーである関亜由美選手と組んだため25キロのハンデを課されているが、なんとかクリアすることに成功し3番手のまま。 Bドライバーでもトップタイムをマークしたのは#17村上泰規選手で、セカンドは#310市川篤選手、3番手、 4番手に#12上野大哲選手、#6四倉悠聖選手が上がってきたが、グリッドを逆転するほどではなく、ほぼシリーズ戦の有力ドライバーたちが上位を占める結果となった。 そして2クラス、ここは道外勢が好タイムを叩き出してゆく。 Aドライバーでは#川上真人選手がトップに立ち、セカンドは#110山市遼平選手となるが、 Bドライバーでは様相一変、#890中谷健太郎選手が2番手を1秒以上引き離すブッチギリのタイムをマークし昨年に続き文句なしのポールポジションを決めた。 ~レース最終盤、SCランが生んだ大逆転劇!!~ 耐久レースの常道であるセフティカー先導によるローリングは1周だけで終了し、そこから決勝レースはスタート。 ポールの#17坂本選手がポジションをキープしてホルショット。2番手は#310浅井選手で、3番手には#778大島選手をパスした#12佐藤選手が上がってくる。 2周目には#310浅井選手がトップに出てリードを広げてゆく。 2番手争いは混戦となるが、それも徐々に落ち着きそれぞれのポジションをキープする走りになってゆく。 3時間と短いがこれも耐久レースである。安定したペースを確実に守り、レースの流れによってそれを変えてゆく。 遅い車両を抜く時も細心の注意を払いトラブルを防ぐ。他車の動向を見てピットインタイミングを考え、そこでは決してミスを犯さない・・など耐久レースのセオリーを守ることが必要なのだ。 スタートから40分が近づく頃、まず#12佐藤選手がピットに戻ってくる。 燃料を補給し、ドライバーが上野選手に交代しピットを出てゆく。 このレースでは1クラスには3回のピットストップが義務付けられ、それぞれ3分以上のストップ。2クラスにはそれが2回となっている。 つまりピットストップ時間が決めれれているため、ピットクルーの競争がないのだ。インディカーやNASCARなどではこのピット作業により勝敗を分けることもある。 そのためピットクルーは燃料補給やタイヤ交換の練習を重ね、ドライバーを1秒でも早くピットから送り出そうとする。 それがチームの総合力の勝負なのだし、レースの面白さを増しているのだが、このようなアマチュア主体のレースではピット作業競争を排除し、安全を優先するべきだったのだろう。 その後も次々とピットインするチームが続くのだが、#55後藤比東至選手のチームはピットストップを遅らせてトップに立つ。 「我々は他のチームとレース戦略が違うんです。燃料がギリギリになるまで走って、そこからピットインの作戦を考えます」 というように1時間を迎える頃まで走り続ける。この戦略は功を奏し、結果的に3位入賞を勝ち取るのだ。 レースも残り1時間となっても上位陣の顔触れに変化はない。 スピンしたりコースアウトしたり、他車との接触アクシデントがほとんどなく、フルコースコーションやセフティカー先導などまったく起きず、レースは淡々と進む。 ただ、#310は燃料補給でエア抜きが悪かったのか2分以上もピットでロスタイムして後退したし、#778もピットストップ時間が短かかったためペナルティを受けていた。 さらにトラックリミット違反や、走路外走行による追い越し違反など多数あり、そのペナルティは上位陣の何台かにも課せられていたのだ。 ただこの違反はある程度仕方のない部分もあった。 走行スピードが大きく違う車両が混走するわけで、遅い車両が予想外の動きをした場合、追いついた速い車両のドライバーはアウトに出て避けるしかなかったのだ。 チェッカーまで残り20分を切った頃、トップだった#55後藤選手がとうとうピットへ向かい、これで#17村上選手がトップに出る。 しかし#12上野選手がピットからペナルティの連絡があったのかペースアップしトップ浮上、そこからリードを広げてゆく。 この時点で、見た目の順位はトップ#12上野選手、2位#17村上選手、3位#778関選手、4位#55面野選手なのだが、実質的な優勝争いは#12と#17に絞られたといっていいだろう。 ところがそう行かないのが“レースの常”である、残り5分を切った頃、なんと最終コーナーで1台がコースアウトしサンドトラップにスタックしてしまったのだ。 この状況から、レースも残りわずか3分を切る時点でこのレース初めてセフティカーがコースイン。 競技車両の間隔は一気に縮まって一列縦隊となり、それぞれがここまで築き上げてきたリードが無に帰した状態のままチェッカー。 ピットロードに戻ってきた各チーム、ペナルティのこともあり、結果がどうなるか半信半疑のまま待つなか、アナウンスされたのは、「優勝は・・・ゼッケン17番!」の声。 その瞬間、坂本選手と村上選手、両腕を高くつき出し「やった!!」と叫び、チームメンバーにも笑顔が広がってゆく。 「途中まではよかったんですけど、12番の恒志堂レーシングに追いつかれて、抜かれてしまい、それでも全力で走ろうと思った結果がこれで最高にうれしいです!」と村上選手、 そして坂本選手も「この成果は僕たちを支えてくれたスタッフの努力のおかげです、ありがとう!」と表彰台の最上段に上って行った。 2位となってしまった#12佐藤選手、トップでゴールしたチェッカー直後は「やりました!それなりに厳しかったですが、いいレースでした」 上野選手も「燃料がギリギリだったんで、セフティカーが出た時にはラッキー!と思ったんですが・・」と残念そうに話してくれたが、それも当然だったろう。 つまりラストの3分間ですべてが変わってしまったのである。 2クラスはスタートではポールの#890奥村博文選手がポジションを守ったが、#95川上真人選手にパスされ徐々に順位を落としてゆく。 スタート直後の先陣争いは#95川上選手と#110山市遼平のバトルとなるが、そこに忍び寄ってきたのが#9安藤義明選手。 スタートから1時間が経ち各社のピットインが始まる頃には#9安藤選手がトップに立っていた。 その後、#9は中村高幸選手に交代してもペースは乱れず、そのまま優勝のチェッカーを受ける。 「走行距離を伸ばすため燃費走行しながらペースを守りました。燃料ギリギリの1時間半まで走り続けて、そこでトップに出ました。 最後のピットは燃料をスプラッシュするだけですから、この作戦は大当たりでした。 なによろスーパー耐久に出ている有力ドライバー達に勝てたのが嬉しいです!」と、道内ドライバーの速さを見せつけてくれた。 <N-ONE OWNER'S CUP> このシリーズ第4戦、レギュラーレースは開催されず、3時間耐久レースとホンダのN-ONEワンメイクの2レースとなっている。 そのホンダN-ONE、全国転戦シリーズとして開催され、十勝では7年目となる。参加台数は昨年よりちょっと減って22台、道内からもホンダカーズ北海道のディラーチームなど参戦チームも多い。 ただ、やはり関東からの遠征チームの実力は高く、前日の占有走行でフロントサスペンションを破損しながらも、それをしっかりと修復した塚原和臣選手が優勝を果たすなど上位を独占されてしまった。ただ、6位に入った及川健斗選手の健闘は光る。 札幌市内ホンダ系ディーラーのメカニックとして勤務しながら、自分で組み上げたレースカーで参戦。常に好タイムをマークし続ける走りは、来年も期待でると言えるだろう。
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