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2023-05-07 北海道クラブマンカップ第1戦レポート!!
レースシーズンが今年も開幕! VITA-01は強さを取り戻した佐藤元春選手がパーフェクトウイン!! 2023 北海道クラブマンカップレース第一戦!! 2023年 5月7日(日) 十勝スピードウェイ(クラブマンコース) ~記念すべきサーキット創業30周年が始まった!~ 1993年の5月5日、“十勝晴れ”という言葉通りに快晴となったその日、帯広市から南へ40キロほど離れた更別村に新設された「十勝インターナショナルスピードウェイ」はグランオープンを迎えていた。 春の大型連休最終週ということもあり、コース周辺は早朝から大渋滞、4万人近い大観衆がグランドスタンドを埋め尽くしたのである。 中嶋悟のドライブするF1マシン、ティレル020がメインストレッチを駆け抜け、2輪では17歳という若さで最高峰GP500クラスへのデビューを果たした阿部典史、そして鈴鹿8耐ではポールポジションも奪った北海道期待のトップライダー武石伸也も華麗な走りを見せてくれた。 その日から早くも30年、数々の紆余曲折があったとはいえ、十勝スピードウェイは北海道唯一のJAF公認レーシングコースとして健在である。 確かにスーパーGTやスーパーフォーミュラ、24時間耐久などのビッグレースは姿を消したが、道内モータースポーツ関係者にとっては大切な存在。30年を経て、十勝スピードウェイはまた新たな第一歩を踏み出してくれたのである。 <VITA-01> ~下剋上ならず! 有力ドライバーが順当に上位進出を果たす!!~ 今年の大型連休、常連ドライバーにとっては4日間にわたって帯広滞在というスケジュールだったに違いない。5日には前述した30周年となった十勝スピードウェイの誕生祭が開催され、そこにはVITA-01の模擬レースが組み込まれていたし、6日にはレースに備えた占有スポーツ走行、そして7日の今シーズン開幕戦と続いたのだから。 ただレース前にこれだけ走り込むチャンスがあったのは有意義だったに違いない。 ただし一昨年のチャンピオンである佐藤元春選手や、昨年は4勝を挙げ絶対的強さを誇った大島良平選手はこのスポーツ走行でちょっとした不安を抱え込むことになった。 佐藤選手はエンジントラブルに見舞われ、エンジン換装を強いられ、大島選手はリアサブフレームにクラックが見つかり、補修せねばならなかったのである。 それに引き換え、快調にスポーツ走行を重ねたのは浅井康児選手や坂本幸照選手、それに加えて村上泰規選手も好タイムをマークしていた。この状況から、今シーズンの優勝争いは大混戦、「上位陣の顔ぶれが大きく変わるかも・・」という予想も浮かび上がってきたのである。 そして迎えた予選、まずトップタイムを叩き出したのは村上選手。 「昨日のスポーツ走行はウエットだったので辛かったですがクルマも仕上がってきたし、うまくスリップを使えましたから納得いくタイムが出せました。フロントローは初めてなので嬉しいです!」と喜んでいたものの、残念ながらそのラップはトラックリミット違反で抹消、3番グリッドに留まる。 代わってトップに立ったのは、「実はもっと行けると思ったんですよ。コンディションも調整したし、決勝はトライしますよ!」と言う浅井選手だったのだが、逆転劇は最後に待っていた。 ドライバーにとっては最終アタックとなった予選残り2分を切った頃、渾身の走りを見せたのは佐藤選手。浅井選手にコンマ3秒近い差をつけて大逆転のポールポジションを手にしたのである。 「このポール、素直に嬉しいですよ。恒志堂レーシングの仲間たちと切磋琢磨してきましたし、セカンドには浅井さん、5番グリッドには工藤大祐くんがつけましたから、決勝では恒志堂レーシングの表彰台独占も狙っていきます!」とその速さを見せつけてくれた。 そして決勝、レッドシグナルが消えた途端、最高のダッシュを見せたのは佐藤選手、クルマを左に寄せ、後続のラインを消してホールショットを奪う。対照的にスタートをミスしてしまったのがセカンドグリッドの浅井選手。 「クラッチミートは良かったんですが、2速に入らない。3速も入らず、4速に入れましたがそれでは加速しませんよね」と順位を大きく下げてしまう。 トップを行く佐藤選手のテールにピタリとつけたのが好調の村上選手。 その直後に大島選手がポジションを上げてきて、そのトップ3が後続を徐々に引き離してゆく。ラップタイムは3者とも1分31秒をわずかに切るくらいで同等。それぞれ1秒ほどの差を保ったまま周回を重ねてゆく。トップの佐藤選手にはエンジン換装後、5速に入りにくいトラブルを抱えており、2番手の村上選手もこの接戦の中では些細なミスが命取りになかねず、3番手の大島選手もリアサブフレームのトラブルが気になっているようで思い切った走りができず、膠着状態が続いていたのである。 順位を上げてきたのは、「予選は思うような走りが出来ず7番手でしたが、トップ3が見えるところまで追い上げられました。あと一歩でしたが、今回はこれが限界でした」という坂本選手と、 スタートミスから10番手までポジションを落としながらも誰より速いラップタイムを連発した浅井選手。 しかし、その追い上げもそこまでで、順位は変わらずチェッカーとなる。 昨年と同様に開幕ウイナーとなった佐藤選手、「現状でのマシン状況から最上の結果で、ポールtoウインですから嬉しいです。今回は勝てましたが、それが続くわけではないですから、より気を引き締めてゆきます」と満足気。 2位の村上選手は、「実は車検でパーツ交換を指摘され、急いで作業を始めたんですが、他のチームのメカニックさんも手伝ってくれて決勝に間に合い、とてもありがたく思っています。 レースは序盤からあの接戦でしたから無理せず自重しました。次は自分の走りを見つめ直して臨みたいと思います」と次戦に期待し、3位の大島選手は「サブフレームのトラブルがあり、とても入賞なんかできる状態ではなかったんですが、なんとか3位。トラブルの要因は分かっていますから次は全力で行けますよ」と語ってくれた。 今回は佐藤選手、村上選手、大島選手と有力ドライバーがトップ3となったが、坂本選手や浅井選手、そして今回初入賞となった工藤選手にも充分にチャンスはあるはず。今シーズンの優勝争いの行方がますます楽しみになってきた。 <TS-86/BRZ> ~KEI NAKAMURA選手、思い通りの“横綱相撲”でトップチェッカー!~ 多少は増えてきたとはいえ、今回の参加台数は4台とちょっとさみしい。このクラス、モデルチェンジによって全国転戦のGR86/BRZ CUP に参加できなくなった旧型レースカーを救済するために新設されたのだが、その旧車両はディーラー参戦も多かったためそのままディーラーが保管していたり、値上がりを期待して買い占めする業者があるという噂もあり、なかなか中古車市場には出てこないのが現状。今回の参加も昨シーズンとまったく同じ顔ぶれで、新たな参戦チームが現れなかったのは残念なところ。 この開幕戦、参戦チームのなかで一歩飛び抜けているのはKEI NAKAMURA選手だろう。レース経験も長いNAKAMURA選手、前日までのスポーツ走行もほとんど走らず、予選アタックが久しぶりの走行だったようだが難なくトップタイムをマークする。 決勝のスタートでも、絶好のダッシュを見せた三浦稔呂選手のラインをうまく塞いで1コーナーではインをキープ。このスタートの攻防でレースの行方は決まったと言っていいだろう。NAKAMURA選手は見る間にリードを拡大、レース終盤にはメインストレート一本分もの差をつけての独走ウインを果たすのだから。 レースも中盤を過ぎたころから激しくなったのは2位争い。先行する三浦選手に光内宏樹選手が追い付きテールtoノーズのバトルとなったのだ。予選アタックこそ好タイムを出せなかった光内選手だが、この追い上げの勢いは眼を見張るほどで、三浦選手をあっさり抜き去り2位上昇を果たした。 <N1-1000・N0-Vitz> ~ベテラン勢の速さと強さは健在で、“貫禄”示す開幕勝利!~ 参加車両は新旧ヴィッツの2クラスなのだが、混走にしたため参加台数は多くなり、さらに両車にさほどのタイム差はないため面白いレース展開となった。 ただし賞典は別なため選手は自分のクラス順位を考えながら、別クラス車両とも戦わなければならないという、選手にとっては難しいレースにもなっている。 予選トップに立ったのはN0クラスの古井戸竜一選手。古井戸選手、以前はザウルスJr.やVITA-01でも活躍していたドライバー、「レース活動も一休みしようと思っていたんですが、たまたまヴィッツを譲ってくれる話があって買ってしまいました」とツーリングカーでの本格参戦は初めてというが、やはり歴戦のベテランは強く、タイムも昨年の最終戦でのベストラップを上回る好タイムをマークする。 N1クラスはこれまたベテランの安藤義明選手がトップ、このクラスはやはり経験がものを言うようだ。 決勝レース、最高のスタートダッシュを見せたのが総合4番手グリッドに甘んじていたN0クラスの平林千真選手だった。 前方のN1クラス2台の間をすり抜けるように加速してゆき、1コーナー進入ではポールの古井戸選手のテールに迫る勢いだったのである。 ただしそれも3周目まで。4周目に入る最終コーナーを立ち上がったところでエンジントラブル発生しスローダウン、上位入賞の夢はこの瞬間に消えてしまった。 同じようにトラブルに見舞われたのは安藤選手だった。平林選手とのバトルのなかで単独スピン、なんと最後尾まで転落してしまったのだ。 しかしそこからが安藤選手の本領発揮。レースに復帰するや、予選タイムを1秒近く上回るタイムで激走、前走車を次々とパスしてゆくのだ。 レース終盤にはN0クラス2位のみなぴよ選手のテールに迫る程で、見事にクラス優勝を果たしてしまうのだ。 トップでチェッカーを受けたのは2位に20秒以上の大差をつけての独走だったN0クラス古井戸選手であり、ベテラン勢の強さと“技”を再認識させられる結果となったのである。
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