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2021-11-03 北海道クラブマンカップ第5戦開催報告!
いよいよ大詰め、今年のシリーズ最終戦! 各クラスともタイトル奪取に向け、デッドヒートの連続!! 2021 北海道クラブマンカップレース第5戦 2021年 10月17日(日) 十勝スピードウェイ(クラブマンコース) 「VITA-01」 ~佐藤元春選手、ダブルヘッダーを完全勝利の連勝果たして初のタイトル奪取!~ 朝9時40分からの予選、前日の雨で路面には一部ウエットが残り、気温も低くタイヤの温まりも悪いため、各選手とも20分の時間をしっかり使い、チェッカー直前でのアタックとなった。ポールを獲得したのは出走前に、「調子はいいです、バッチリ決めてきますよ!」とスタートしていった佐藤元春選手。唯一、1分32秒前半をマークし、2番手以降からコンマ5秒以上の差をつけている。その2番手は大島良平選手、3番手、4番手にはこの第5戦の結果によってはタイトルも視野に入る坂野研選手、ベテランの平中繁延選手と続き、想定通りの有力ドライバーが上位に並ぶ結果となった。 ≪大嶌良平選手≫ ≪坂野研選手≫ 雲間から薄日も差し始めた昼過ぎのスタートとなったRace①、ポールポジションから一直線に加速していった佐藤選手がレース序盤から後続に明らかな差をつけて独走態勢を築き上げてしまう。2番手は最高のダッシュでスタート直後に3コーナーまでにポジションを上げた平中選手がつける。平中選手と坂野選手にとって、この2連戦の連勝はタイトル獲得には必須条件だったのだが、レース中盤でその望みは消えてしまったと言えるだろう。それくらいトップを行く佐藤選手の走りは安定しており、他の追従を許さないものだったのである。 この独走ウインで今シーズン3勝目を手にし、シリーズチャンピオンもほぼ確定した佐藤選手、「予定通りのレース展開ができました。2周目のストレートで後方を確認したんですが、2番手とはかなりの差がありましたから一安心。でも気を抜かないでゴールを目指しました。自分のことも嬉しいですが、浅井が3位に入ったことの方が嬉しいです!」と、チームメートである3位の浅井康児選手に駆け寄り、初表彰台をゲットしたことを祝福する余裕を見せるほどの勝利だった。 ≪3位入賞 歓喜の抱擁!≫ ≪浅井康児選手≫ 続くRace②、ここでも佐藤選手の強さは変わらなかった。スタートから大きくリードを奪い、予選タイムを上回るほどのラップタイムを叩き出しての快走を見せ、レース中盤の5周目には早くも後続に5秒もの差をつけ独走。2番グリッドにつけたのはRace①で痛恨のジャンプスタートでペナルティを課された大島選手。そのペナルティにもめげず、レース中のベストラップは2番手だったのだが、レース序盤で坂野選手、浅井選手に先行を許してしまう。何とか今シーズンのあと一勝を手にしたい坂野選手、先行する佐藤選手を追撃したいのだが、後方から接近する浅井選手とのバトルに追われ、そのままチェッカーとなる。同様に、初勝利を手にしたいと3番グリッドからスタートした平中選手、「右の脇腹が痛くて、脚もつりそうになるし、もう年だわ・・・」と残念ながら7位に沈んでしまう。 ≪7位 平中選手≫ タイトルを手にした佐藤選手、その要因を問われて、「まずコースを知ること、マシンを熟成させること。その上で、とにかく走り込むことでしょう。僕のVITAでの走行量は誰にも負けないと思います!」と答えてくれたが、“練習はウソをつかない”という名言を立証する佐藤選手の走りだった。 「SAURUS Jr.」 ~吉田哲也選手、完全無欠スキなしの4連勝達成でぶっちぎりのタイトル獲得!~ 以前はかなりの参加台数もあったザウルス・ジュニアだが、最近は大きく減少し、今シーズンは毎回わずか3台の参加台数で推移している。残念ではあるが、それも時代の流れ、仕方のないことなのだろう。ただ、この今シーズン最終戦にはスポット参戦の一台が加わってきた。それがチャンピオン経験もある有力ドライバーの阿部晃太選手。すでにタイトル争いは優勝2回、2位一回の吉田哲也選手にほぼ決まっているのだが、その流れを一変させてくれるのでは・・と阿部選手の走りに注目が集まったのである。 その予選アタック、なんと阿部選手はコースインしたばかりの最終コーナーでスピンしコースオフ。グラベルから脱出できずに赤旗掲出の原因となったことからノータイムとなってしまうのだ。そうなればポールポジションは吉田(哲)選手に決まったも同然であり、格上のVITA-01の2台を出し抜くタイムをマークする速さで“予定通り”のポール奪取となる。 決勝のRace①、最高のダッシュを見せたのは最後尾グリッドの阿部選手、なんと一気の加速で第1コーナー進入までにトップに立ってしまうのだ。ただその勢いも2周目まで。狙い定めたように吉田(哲)選手が阿部選手をパスし、そのまま8秒近いリードを奪ってトップチェッカー、この時点でチャンピオンも決めてしまうのである。 Race②もポールからスタートしたのは阿部選手なのだが、リードを奪えず参加4台が一団となってのバトルが続く。 それに決着がついたのが7周目、満を持したように吉田(哲)選手が阿部選手を抜き去り、そのままリードを広げて、今シーズン4勝目のチェッカー。吉田(哲)選手が現在の“第一人者”たる強さをさらに印象付ける戦いぶりだった。 「N1-1000」 ~実力伯仲、コンマ秒差の接近バトルを制して、中村高幸選手がタイトル奪取に成功!!~ 初代のヴィッツ、SCP10型をベースとしてN-1仕様としたN1-1000クラス、ナンバー付ではなくなったため競技車両としてのポテンシャルもアップし、毎レース、接近バトルが展開され大いに楽しませてくれるクラスである。今シーズンもレースごとにウイナーが変わりポイント争いも激化、この最終戦が文字通りのチャンピオン決定戦となっている。 またこのクラスを面白くしている要因のひとつがステップ・エンジニアリングの存在だろう。モータースポーツに関わって20年近い実績を持つ水田氏が率いるステップ・エンジニアリング、このN1-1000クラスに参戦する大多数のドライバーがここのサポートや車両メンテナンスを受けているのだ。それがこのクラスのレベルアップを果たしてくれているのだろう。 予選トップタイムをマークしたのは今シーズンの開幕戦ウイナーである中村高幸選手。彼にとってもこのポールポジションポイントの1点が大きい。このクラスは第2戦ウイナーの三浦稔呂選手、第3戦ウイナーの面野一選手、さらに常に上位入賞を果たしている安藤義明選手の4名が僅差のポイント争いを展開中なのだから。 決勝のRace①、絶妙の加速でホールショットを奪った中村選手、スタート時の混乱が収まると3周目には明らかな差をつけてストレートに戻ってくる。後方では三浦選手、安藤選手、面野選手が三つ巴のバトルを展開。ストレートではスリップの使い合いで順位が目まぐるしく変わるほど。ただ、その2位争いのデッドヒートを尻目にトップを行く中村選手は3秒近いリードのままチェッカーを受け、タイトルに王手をかける。ただまだ確定ではなく、ピットに戻ってきた中村選手、「勝ててよかったですけど、次も勝たないと安心できないですよ」と油断はない。 そのRace①で大接戦の中ベストラップを叩き出した面野選手がポールシッターとなるRace②、そのタイム差はコンマ5秒と大きく、面野選手の優位は動かないと思われた。スタート直後からペースを上げた面野選手、オープニングラップから後続に2秒近い差をつけて戻ってくる。ただそのリードも長くは続かず、レース半ばを過ぎる頃には、安藤選手や三浦選手とのバトルを抜け出した中村選手がトップを行く面野選手に急接近、そこからテールtoノーズのバトルが開始となるのだ。並走やインの奪い合いが何度も続いたが、最終ラップの第1コーナーでとうとう中村選手がトップ浮上。バトルはこれで決着と思われたのだが、ドラマはまだ終わらなかった。4コーナーからの加速で面野選手が再度トップに出て、そのままチェッカーとなるのである。「厳しいバトルでしたが、なんとかタイトルは決まって良かったです。この成績でギリギリですからね、いや~今日のレースは辛かった!!」という三浦選手に、「最終ラップはタイトルが決まった三浦さんが譲ってくれたんですよ、きっと。でも面白いレースでした!」と面野選手。まさに、“オトナのバトル”だったと言えよう。 「N0-Vitz」 ~第一人者たる阿部晃久選手の堂々の走りと、同ポイントに並んだタイトル争いの決着は?!~ トヨタの方針転換から「ヤリス・カップ」となったナンバー付車両でのレース、これまでレースに参戦してきたヴィッツレース車両の救済策として設定されたのが「N0-Vitz」である。その初年度、当然ながら道外からの参加者は減少、道内選手を中心に出走5台程度のレースが続いてきたのだが、この最終戦には9台がエントリーしている。そのスポット参戦ドライバーのなかで注目されるのが阿部晃久選手だろう。北海道でヴィッツレースが開催されるようになって以来、長年トップドライバーとして活躍してきた選手なのである。その実力はさすがに確かで、久しぶりの出走にも関わらず予選トップタイムを叩き出す。これには加藤選手も「阿部さんならトップタイムも当然でしょう、今年初めて走るのに、さすがです。これは仕方ないですよ」と言うが、2番手以降とのタイム差はさほどではなく、タイトル有力候補である2番手の佐久間進選手や、3番手の加藤選手にも充分に勝負権がある予選となった。 そして迎えた決勝、絶妙のクラッチミートで一気に加速した阿部、誰の追従も許さず第1コーナーを余裕でクリアしてゆくのだが、問題は2番手争い。タイトル争いの当事者同士である佐久間選手と加藤選手である。タイトル獲得のためにはここでの2位入賞が必須条件の2選手、互いに一歩も譲らない接近バトルが続くのだ。 その状況に変化が出てきたのはレース終盤、残り4ラップを切った頃である。トップを行く阿部選手のストレートスピードの伸びが失われてきたのだ。加藤選手とのバトルに決着をつけた佐久間選手が見る間に間合いを詰めてゆく。一時は5~6秒あったリードが毎ラップ1秒ずつ縮まってきたのだ。しかしそこは実力者の阿部選手、後方との差を確認しながら逃げ切ってしまう。「途中で、5速に入らなくなって、ストレートエンドなんかオーバーレブ寸前だったんだけど、エンジンも持ってくれて助かったね!」と阿部選手、見事にベテランらしさを見せつけてくれた。 さて、問題のタイトル争い、2位でゴールした佐久間選手と、3位の加藤選手がまったくの同ポイントで並んだのである。 規定によれば出走回数が多い方が上位なのだが、それも同一。次は上位入賞回数によるのだが、2位入賞回数が佐久間選手が多かったのである。加藤選手にとってはジャンプスタートで順位を落としてしまったシリーズ第2戦こそ、今となっては悔やみきれない一戦だったのではないだろうか。
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